平成15年8月6日 山梨市民会館で行われた「知事を囲む小中学生のつどい」の意見発表の中から・・・

「私の描く未来の山梨」 中野 晃

 僕が未来の山梨に願うことは、障害がある人もない人も共に手を取り合って交流し合い、障
害者であっても普通の人達と同じように就職し、同じ場で働けることです。
 
 僕は、聴覚障害者です。生まれつき耳が聞こえず、ろう学校の幼稚部に通い、小学校は普
通の学校に通っていました。先生が遠くにいると、声がよく聞こえないし、近くにいても教科書
が邪魔になり先生の口が見えなくてとても不便でした。学校という限られた場所でさえ、「聞こえ
にくい」ことで多く悩みました。僕に限らず一般社会での聴覚障害者にとって大きな二つの悩み
は、コミュニケーションのことと、就職や進学等の進路のことです。多くの人との様々な話やス
ポーツをしたいのに、なぜ普通の人たちと言葉が通じにくいのか、なぜ耳が聞こえないだけで
就職が見つかりにくいのか、多くの聴覚障害者が苦しみ助けを求めているのです。
 
 コミュニケーションとは、人と人との気持ちを伝え合うことです。しかし、僕には人から道を尋
ねられ何度か聞き返すと、途中で会話を打ち切られてしまったり、逆に道を聞こうとしても無視
されてしまった経験があります。そんなとき、普通の人たちは聴覚障害者と話をするのが嫌な
のではないだろうかと思ってしまいます。例えコミュニケーションがとれなても、ジャスチャーをす
ればいい。口で話が伝わらなかったら筆談をすればいい。それを面倒だと思ってしまったら、
心と心は通じません。話をするだけが交流ではありません。「おはよう。」と言ってくれること、挨
拶しあうだけで交流ができるのです。もちろん僕たちも努力すべきところがたくさんあります。相
手の口を読みとる力や相手の行動を見る力、自分の考えを正しく書く力をつけることです。しか
し、皆さんも私達に一歩近づいてほしいのです。少し大きく口を動かしてもらう、大きな声で言っ
てもらう。これだけでも伝わることもあるのです。ただその方法を知らないだけなので、国や県
は障害のある人との交流の方法を広報などを使ってもっと広く伝えてほしいと思います。
 
 就職では、障害のある人も普通の人達と共に働きたいという希望を多く持っています。なぜ耳
が聞こえないと就職が見つかりにくいのでしょうか。耳が聞こえないし、発音が聞き取りにくい
から採用しないという社会が多いと思いますが、それはおかしいと思います。確かに聴覚障害
の人達は普通の人と比べ、発音が不明瞭です。しかし、僕たちは日常生活での自分の役割を
責任を持って果たしています。また、物事の善悪もしっかり判断しています。聴覚障害者だけで
なく、その他の障害を持つ人でも同じ事です。

 昨年の8月、授産施設のボランティアに行きました。そこでは様々な障害を持った人達が働い
ていますが、暑い日も寒い日も休むことなく一日中頑張って働いています。彼らは方法がわか
らない僕に教えてくれたり、話しかけてくれました。彼らは自分たちの仕事に責任と誇りを持っ
ているのです。

 僕がもし未来の山梨を変えられるなら、障害者が安心して働くことができる職場を作る手助
けをしていきたいと思います。

 また、僕は障害者が暮らしやすい山梨を作りたいです。サービスや環境への配慮は、中心地
にはありますが、少し中心を離れるとまだ普及していない場所が多いのが現実です。視覚障害
がある人のために、信号を放送や音で合図することや、聴覚に障害がある人のために普通電
車でも到着や通過駅の字幕を入れること等を考えたいです。どこでも同じサービスが受けられ
ることが大切なのです。また、障害者に生活での要望をアンケートし、より良い生活ができるよ
う市町村に呼びかけ、改善して障害のある人の声を社会に活かしていきたいです。最後に障
害者の暮らしやすい山梨は、お年寄りや全ての人々に優しい山梨だと思います。普通の人も、
障害のある人も平等に暮らしやすい山梨になること、それが僕の願いです。


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